あしたの知財

メーカーの知財勤務を経て特許事務所を経営しています。知財の活用や訴訟を主な業務としている弁理士・ニューヨーク州弁護士です。新しい切り口の知財情報発信を目指します。

いまさらながらWeWorkについて

新しい知財ブログを目指すと言いながら早速知財に関係の無い話で恐縮です。

 
ソフトバンク決算説明会 *1を見ていたらWeWorkの話が出てました*2
 
WeWorkとソフトバンク合弁会社を作ると発表*3したのは昨年のことなので、いまさらですが…。
 
WeWorkはニューヨークを拠点に世界各国にコワーキングスペースを展開する米国企業です。スタートアップのみならずマイクロソフトなどの大企業も利用を進めているようで、日本でも、東京、横浜、大阪、福岡で営業開始する予定のようです。
 
似たような業態で思いつくのは、老舗のRegusServecorpExecutive Centerなどが世界展開している有名どころだと思います。
 
私も老舗のサービスオフィスを使っていたことがありますが、こちらは迅速かつ簡便に比較的小スペースのオフィスを提供するというもので、有名どころのビルのワンフロアを借り切り、小スペースに分けて貸しオフィススペースを提供するといったものです。
 
一方、WeWorkはコワーキングスペースということで、そのミッションからもコミュニティとしてのあり方を重要視しているようです。
"When we started WeWork in 2010, we wanted to build more than beautiful, shared office spaces. We wanted to build a community. A place you join as an individual, 'me', but where you become part of a greater 'we'. A place where we’re redefining success measured by personal fulfillment, not just the bottom line. Community is our catalyst." (WeWorkのホームページから引用)
 
ソフトバンクの決算発表では、孫社長が、WeWorkは単なる貸しオフィス業ではなくworking networkだと説明されていました。ソフトバンクの本社もWeWorkに移転することを議論しているそうです。私が利用していたサービスオフィスは、少人数でビジネスを始めるには便利ですが、コミュニティの場を提供するというコンセプトは重視していなかったような印象です。
 
ワシントンDCにあるWeWorkのスペースをホームページで見てみるました*4。DCの中にも複数の拠点があるのですが、例えば、弁護士事務所が多い K Street 沿いのスペースで5人のオフィスを借りると$3,000/月程度のようです。
 
値段も検討に値しますが、何よりおしゃれ (笑)
 
私のオフィスの近くにも開業するようなので、機会を見つけて偵察に行ってきます。

*1:2019年3月期第1四半期決算説明会。動画がオンデマンドで見れます。

*2:動画の42分頃から始まります

*3:ソフトバンクとWeWork、日本のワークスタイルを変革する合弁会社を設立

*4:たまたま仕事でDCに来ています

倫理的なNPE?

なんだかんだと言ってアメリカは知財ビジネスの実験場のようなところです。

今回は、新たに立ち上がった"Ethical NPE (TM)"をご紹介します。

もともと、NPEというのはNon-Practicing Entityの略で、自分自身では事業を行わずに、主に購入等して手に入れた特許を権利行使する団体を意味しています。昔はパテント・トロールなどという呼び名が一般的でしたが、いつからかNPEなどと呼ぶようになりました。

2017年にCalifornia州のPasadinaで設立された iPEL, Inc. は、自らEthical NPEと称しています。"ethical"というのは「倫理的な」という意味なので、意訳すれば「倫理的なパテント・トロール」ということになりますね。既に、"home and business electronic devices", "networking technologies", "degital rights management technology" などを中心に1,000件以上の特許を取得している模様です。

何が倫理的(ethical)なのかというと、彼らのホームページを斜め読みしたところ、まずは有効的に話し合います、というのと、スタートアップなどのsmall businessに対しては所定期間無料でライセンスする、大企業に対しても"paid-up" (一括金でランニング・ロイヤリティー無し) という枠組を容易しているということのようです。

2013年に成立した米国の特許法改正(いわゆるAIA)以降、NPEの活動は大幅に制約を受けることになりまして、実際のところ米国の訴訟件数もだいぶ減っています。2013年に6,000件以上あった米国の特許侵害訴訟は、2017年には4,000件台に落ちこんでいます。”2018 Patent Litigation Study"

このような、少なくとも米国では、NPE受難の時代となっている現在ですが、まだまだ新しい試みをする人々が出てくるのが米国の魅力の一つと思います。また、近似ではドイツを中心とした欧州や中国での権利行使を念頭においているNPEも多数出現してます。iPELの中国での権利行使に注力しているというニュースもあります。

さて、最後にiPELの創業メンバーですが、CEOは弁護士のBrian Yates氏でChristie, Parker & Hale, LLP、McKool Smith LLPなどの弁護士事務所を経たあと、Prognosis IP, LLCというNPEでキャリアを積んだようです。また、PresidentのRasheed McWilliams氏も弁護士でCotman IP Law Groupで訴訟部隊のヘッドをしていた人物のようです。

 

余談:中国での特許侵害訴訟は件数こそ多いものの、損害賠償額はまだまだ低い印象です。これが上がっていくような状況になると中国でのNPEの活動もだいぶ活発になる気がします。

余談:私も何度か訪問したことがありますが、iPELの本拠があるカルファルニア州のパサディナはとても良いところですね。ロサンジェルスダウンタウンからは車で1時間程度離れているでしょうか。治安もよく、比較的のんびりとした高級な住宅地といったところでしょうか。仕事で訪れるても楽しいことはあまりありませんが…。

 

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